Q&A税務調査対策 - 寝屋川・枚方の税理士なら大阪府寝屋川市 中原広一税理士事務所
Q1)税務調査が行なわれる時期やタイミング、心得について教えてください。
Q2)税務調査の区分について教えてください。
Q3)揃えておくべき証拠書類と調査の重点項目について教えてください。
Q4)資産と負債項目、現金・預貯金の出納管理、売掛金・買掛金を教えてください。
Q5)売上(売上除外)と仕入、貸倒償却、固定資産、一般管理費、販売費を教えてください。
Q6)棚卸資産の調査のポイントについて教えてください。
Q7)役員に支払う給与と賞与・退職金について調査のポイントを教えてください。
Q8)消費税の税務調査に必要な証拠書類、ポイント、注意点を教えてください。
☆こちらのTax Reportも参考にしてください。
■調査省略を可能にする 新書面添付制度の活用
Q1)税務調査が行なわれる時期やタイミング、心得について教えてください。
<Answer>
主に税務調査のターゲットとして見られやすい先
(1)狙われやすい"脱税御三家"
過去の課税実績から、不正割合の高い業種と、不正脱漏所得金額の大きな業種の第3位までの"脱税御三家"ともいわれる業種については、他の業種に比べ、調査対象になりやすい業種であるといえます。
(2)異常値の原因が不明な会社や雑勘定残高の多い会社
その会社の経営数値が同業他社に比べて異常で、しかもその原因が不明である会社や雑勘定の残高が多い会社も、調査対象会社とされます。
(3)過去に重加算税などを課されたことのある会社
過去の申告について不正があったため、重加算税などを課税されたことのある会社は、3年以内に再度、税務調査が行なわれる可能性が大きいといえましょう。
≪参考≫ ~他の選定方法の例
① 前回調査から3年以上経過している
② 企業の業績に著しい変化が生じた
③ 大きな設備投資をした
④ 個人借入金が特に増大したり、大幅に変動した
心得
(1)金庫や引き出し、キャビネットなどの整理・点検
任意調査できた場合でもかならず金庫や担当者の引出まで検査されるものと考えて整理・点検しておくべきです。
(2)手許現金と出納帳との照合
現金は日頃から確実に照合され、合致しているのが普通です。調査時点で食い違いが生じれば疑念を持たれ、
不利な立場を招くことになります。平素の管理体制が問われる問題ですので完全に合致させておきます。
(3)帳簿や伝票、証憑書類の整理
帳簿や伝票、請求書。領収書などは所定のファイルにして期別・年月を記入し準備をします。
帳簿書類の落書きやチェックについても十分説明できるようにしておく必要があります。
Q2)税務調査の区分について教えてください。
<Answer>
■区分
調査には、強制調査・任意調査・特別調査がある。
調査は次のように区分して行なわれると考えられます。
◆ 強 制 調 査
悪質脱税容疑者に対し、裁判所が発行した捜査礼状をもとに、国税局査察部の国税査察官による有無をいわさず強制的に証拠物件や書類を押収して行なわれる調査です。これは相当多額で悪質な脱税が探知された場合に行なわれ、俗に「マルサのガサ入れ」といわれています。
◆ 任 意 調 査
任意調査は、申告の内容について確認をするという意味で行うものです。とくに、あらかじめ脱税又は不正の事実をつかんだということで行なわれるわけではありません。したがって、事前に調査の予定日を連絡してくるなど、企業の側から言えば都合のよい調査といえます。
しかし、任意とはいっても、税法上の質問検査権を持って調査にあたるわけですから、正当な理由なしにその行使を断った場合には、所定の罰則が課せられます。
通常、調査という場合には、この任意調査のことであり、一般に数多く経験する調査です。
◆ 特 別 調 査
これは、前述の強制調査と任意調査の中間的な性格の調査といえるでしょう。
広義には任意調査の分類に入りますが、申告内容に特に疑問が持たれ、その規模も割合大きいものがこの対象とされるようです。
特別調査は、国税局の資料調査課の国税実査官が行なうものと、税務署の特別調査部門の国税調査官により行なわれるもの及びこれらの合同により行なわれるものとがあります。
国税局の資料調査課は、各税務署からの上申等により調査の難易度が高いもの、例えば事務所が何ヶ所もあったり、取引銀行があちこちにあるなど広域調査を必要とするもの、事案の内容が複雑で多くの事務量を必要とするものなどを担当しています。
Q3)揃えておくべき証拠書類と調査の重点項目について教えてください。
<Answer>
どのように効果に基づく活動は、同社のPDFに原価計算
事前準備書類等としては、調査が、代表者の所得税を対象とするのか、会社の法人税を対象とするのかにより異なりますが、一般的には以下の参考資料、帳簿及び証票を準備しておくことが必要となります。なお、通常の調査では今は時効の延長もあり過去5年分が調査対象となりますので、期別毎にダンボール等で区分保管しておくとよいでしょう。
① 参考資料
・ 法人の概況書
・ 法人の商業登記簿謄本及び株主総会等議事録
・ 株主名簿
・ 役員、従業員名簿・組織図
・ 関連法人を統括するグループ関連組織図
② 帳簿類
・ 現金、預金出納帳
・ 普通預金通帳
・ 当座預金照合表
・ 総勘定元帳
・ 補助簿
・ 申告書一式
③ 証票類
・ 売上関連帳票
・ 仕入関連帳票
・ 棚卸表
・ 領収書控え
・ 請求書、受取請求書
・ 給与台帳
・ タイムカード
・ 源泉徴収簿
・ 各種契約書
調査に立ち会う時の心得
① 経営者との連携
② 金庫や引き出し、キャビネットなどの整理・点検
③ 手許現金と出納帳との照合
④ いらざる疑いを招かないように
⑤ 一般従業員への注意
⑥ 経理担当者としての準備
⑦ IT時代の調査、嘘は墓穴を掘る結果に
Q4)資産と負債項目、現金・預貯金の出納管理、売掛金・買掛金を教えてください。
<Answer>
■資産と負債項目の調査に関するポイント
資産、負債項目の内、一般に共通する流動資産について、税務調査の目のつけどころを要約すると、おおむね次のようになります。
① 現金 ・・・残高管理と記帳の調査
② 預貯金・・・残高確認と小切手類の調査
③ 受取手形・支払手形・・・手形の内容と受取先(振出人や裏書人)、支払先の確認
④ 売掛金・買掛金・・・得意先、仕入先との残高照合と取引内容の調査
⑤ 貸付金・・・理由と貸付条件、資金の源泉の調査
⑥ 借入金・・・理由と借入条件、資金の源泉の調査
⑦ その他の各種資産・負債・・・費用の繰延、収益の見越し処理、前渡金や仮払金の長期滞留、役員との取引に基づく預り金等の調査
資産・負債に関連する調査項目のポイント
<資産>
① 有価証券の増減に関する調査
その残高につき現物との差異が生じていないか調べられます。有価証券は必ずしも現金購入によることなく、株式分割、無償交付、代物弁済等多くの要因により増加し又減少についても譲渡の他、評価損等多くの要因によって減少することから有価証券発行法人より送付されてくる株式配当等の資料が漏れなく保管されているかを調べられます。
また、受取配当等が入金されている場合、それに対応する株式等が計上されているかどうか調べられることとなります。
② 前払費用
前払費用とは「一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対して支払われた対価」のことを指します。
従いまして、短期前払費用は原則的に決算時点において適切な月割計算により資産計上されているかどうかが調べられることとなります。
注意点は以下の3点となります。
(イ) 現金支出に限り認められ、未払分は認められません
(ロ) 期間が1年以内の短期前払費用のみ経費計上が認められます
(ハ) いったん処理したものに関しては、継続性が要求され、支出時損金処理を選択した場合には、原則として同一処理手続きを継続することが要件となります。
③ 仮払金
仮払金勘定に本来の仮払金すなわち旅費交通費、交際費、福利厚生費等以外の仮払金が計上されていないかどうかが調べられることとなります。
注意点は以下の4点となります。
(イ) 内容が把握されているかどうか
(ロ) 取引内容が検討されているか
(ハ) 仮払金の精算が行われているか
(ニ) 長期間に渡って精算されずに残高がある場合には役員に対する貸付金とみなされ利子の認定がされることがあります。
<負債>
①未払金
未払金はいわゆる「ワンイヤールール(1年基準)」に従い、期末日から1年以内に支払又は返済されると認められるものという認識が前提となります。
相手方の請求書が遅れている取引や、年度末直前に行われてまだ請求書が到着していない取引について、期末に納品書等のチェックを行い、未処理の取引を発生主義で計上しなおすことは、損益計算適正化の意味からも、また適時な損金計上の意味からも重要になっています。
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②預り金
源泉所得税以外の預り金、特に相手方が経営者等個人の場合や不明入金を預り金勘定で処理しているケースが問題となります。いたずらに不明入金を預り金計上することなく、極力内容究明に努める姿勢が大事です。
また、長期間に渡って残高のある長期滞留預り金に関しては、他の勘定に振り替える必要がないかチェックを行う必要があります。これは収入の未振替等で利益に組み入れる性質のものが混在している可能性があるためです。
■現金・預貯金の出納管理の調査のポイント
(1) 現 金
① 現金出納帳が正しく記帳されているか
② 現金の有り高が出納帳と常に照合され、一致しているか
③ 帳簿残高が長期に渡って必要以上に多額の数字になっていないか、逆にマイナスになっていないか
④ 領収書は正しく受取り、その支払日と領収証の発行日は一致しているか
⑤ その他の注意事項として、役員個人の現金を金庫などに保管しておかない
(2) 預貯金
ポイント 1.預金勘定そのものから、不正の所在を把握する
2.銀行そのものに反面調査を実施することによって、企業の処理の正否をチェックする
① 預金残高の照合はされているか
② 長期にわたって未取付となっている小切手、未渡しの小切手はないか
③ その他の注意事項として、個人名義の通帳や印鑑等を保管しないこと
■売掛金・買掛金の調査のポイント
<売掛金>
税務調査で指摘を受ける代表的なものは、期中に現金主義で収益計上を行っている場合における期末実現収益の計上漏れに関するものです。つまりは商品の納品や役務の提供等が終了しており、その対価のしての売上が確定しているにも関わらず、売上先より入金していないという理由で今期の売上に計上せずに、翌期に繰延を行った場合、売上の計上漏れとなります。
特に入金サイクルが不定であるものについては注意を要します。
計上基準の変更については、その変更処理の合理的理由の存否が問題となりますので、慎重に検討が必要です。
また、長期滞留先の売掛金等の売掛債権について、貸倒処理が行われた場合、その適否はさることながら、発生の経緯・回収の経緯等が適否判定の重要なポイントとなりますので、特に注意が必要です。
<買掛金>
税務調査で指摘を受ける代表的なものは、売掛金同様期中に現金主義で費用計上を行っている場合における期末の未実現費用の前倒計上に関するものです。
また、よく問題となるのは、架空仕入による経費の水増しによって所得隠しを図る例であり、特に注意して調査されます。
これらは税務上の問題だけでなく、この種のカラ債務は、うっかり支払うことにより金銭の使い込みに利用されるおそれもありますので、経営上も注意を要します。
また、長期滞留債務の洗い出しが行われる中で、支払不要債務が見つかれば否認されることとなります。
Q5)売上(売上除外)と仕入、貸倒償却、固定資産、一般管理費、販売費を教えてください。
<Answer>
売上(売上除外)と仕入の調査のポイント
売上(売上除外)について
① 仕入に見合った売上となっているか
② 期末の売上を翌期に繰り延べていないか
③ スクラップ売却などの雑売上や自家消費などの売上は計上しているか
④ 荷造費や運賃などの経費が売上高と連動しているか
⑤ 売上に見合わないほどの多額のリベートが支払われていないか
⑥ 正常な売上を見本品や試供品として処理していないか
⑦ 掛売上が除外されていないか
⑧ 商品や得意先の一部を計上除外していないか
⑨ 売上代金を仮受けや借入といった名目にしていないか
⑩ 特許料・ノウハウ使用料の支払いが多くなっていないか
⑪ 個人資産や個人名義預金の増え方に異常なものはないか
⑫ レジスターが正しく打たれているか
⑬ 建設業などで、追加工事分や値増し分などが隠されていないか
仕入について
① 納品書、請求書、領収証などが保管・整理されているか
② 上記の伝票や書類に架空のものはないか
③ 売上に見合った仕入となっているか
④ 前期からの繰越しの額は正しいか
⑤ 受取りリベートの計上漏れがないか
⑥ 仕入帳の記載金額、内容は正しいか
⑦ 支払代金の決済に異常なものはないか。支払期間が異常に長くなっていないか。
⑧ 実際の支払日と領収証の受領日にズレはないか
⑨ 異常な大口預金仕入や臨時の仕入はないか
⑩ 仕入れた現物と帳簿の数字は一致しているか
⑪ 仕入が異常に増減している月はないか(仕入伝票と請求書や領収証との照合や、その筆跡、訂正箇所の追及まで行われる)
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貸倒償却の調査に関するポイント
法人の有する金銭債権について貸倒れが発生した場合には、その貸倒れによる損失は、課税所得の計算上損金の額に算入されます。
税務においては、貸倒れによる損失を、金銭債権の法律的な消滅による場合と、金銭債権は法律的には消滅していないがその資産性の有無についての会計的認識をした場合(事実上の貸倒れ)とに区分しています。
税務上、貸倒損失として損金算入が認められるためには、事実の発生及び処理方法等が正しくされているかどうかがポイントになります。
(法律上の貸倒れ)
債権の全部又は一部が法的手続により切り捨てられた場合
処理方法・・経理方法、処理方法を問わない
取扱い・・・損金算入が強制される
(事実上の貸倒れ)
債権の全額が債務者の資産状況、支払能力等からみて回収不能となった場合。
処理方法・・貸倒損失として損金経理処理
取扱い・・・貸倒損失として損金算入が認められる
(形式上の貸倒れ)
債務者との取引停止後、1年以上経過した場合等
処理方法・・その他の処理
取扱い・・・損金算入が認められない
固定資産の種類と調査のポイント
固定資産には、①有形固定資産、②無形固定資産、③投資等がありますが、このうち調査の際に問題とされるのは主に①有形固定資産、すなわち、土地、建物、機械設備、車両、器具備品などに関するものです。
元来、固定資産は毎期大きな変動があるものではないので、通常は調査の対象とならない項目です。しかし、期中に大きな設備投資や土地建物等の購入が行なわれた場合には、その理由をはじめ、購入資金の源泉、さらには全体的な企業利益のバランスなどが調査されます。細かな点では、それらのために支出した各種費用のうち、取得原価に算入するべきものが正しく処理されているかどうかもチェックされるでしょう。
以上のことを明確に説明できるよう、契約書や証憑書類は物件ごとに整理しておくとよいでしょう。
一般管理費および販売費の調査のポイント
中小企業では、役員報酬と賞与が一般管理費のうちで大きな比重を占めており、また、利益操作に利用されている面も少なくないようです。
平成19年4月1日から役員給与は「定期同額給与」や「事前確定届出給与」といった制度が導入されています。
「定期同額給与」とは、役員へ給与支給額は事前に定めた一定額でなければならないというもの。
また、「事前確定届出給与」は定期同額給与または利益連動給与を利用しない場合は、あらかじめ所轄税務署に給与額を届け出ておかないと損金にならないとするものです。これにより、定期同額給与を装っている給与などは、厳しくチェックされるようになっています。
その他に、社長の親族などで名目上は従業員だが実質的には役員といった、「みなし役員」への給与は損金に算入できないので注意しましょう。
Q6)棚卸資産の調査のポイントについて教えてください。
<Answer>
棚卸資産について税務調査の視点
① 実地棚卸の原始記録の調査
帳簿の突合に加え、帳簿記録の正否が納品書、仕入伝票等と照合しているかどうかが調べられます。
そのため、実地棚卸の際には、現物を実際に観察し、実地棚卸手続きにより在庫を確認し、帳簿上における実地棚卸リストと差異が生じないようにしておかなければなりません。
少なくとも決算期における確定・中間において実地棚卸を行い、過不足があれば随時修正しておきましょう。
いずれにせよ実地棚卸は完全に行わないと、税務調査では大きな不信感が生ずることになります。
② 預け品等の社外在庫品や未着品等、添付品、特定品目の調査
預け品、未着品等については、仕入伝票などにより、実質的な現品確認と伝票の処理との差異が生じていないか調べられます。
③ 備品・貯蔵品等の期末大量購入
期末に大量の備品・消耗品等を購入した場合、期末において未使用・保管中のものであれば、棚卸資産として計上する必要があります。よって、これらの品目についても納品書、伝票等と照合しているかどうかが調べられます。
例えば会社案内、各種パンフレット等の作成を行い、全額損金に計上している場合でも、その中に未使用・保管中のものがあれば、その分を棚卸資産として計上しなければなりません。
Q7)役員に支払う給与と賞与・退職金について調査のポイントを教えてください。
<Answer>
役員給与について
(1) 損金として認められる条件に合致しているか
平成19年4月1日以後に開始する事業年度から、役員給与が損金として認められるのは以下の場合のみとなりました。
①1ヶ月以下の一定の期間において同額の給与を支払う「定期同額給与」
②事前に税務署に届け出た額を支払う「事前確定届出給与」
③同族会社以外で利益に関する指標を基に算定する「利益連動給与」
これ以外の給与は損金不算入となります。
また、定期同額給与を期中に改定するには「期が始まってから3ヶ月以内」「臨時改定事由に該当する」「経営の悪化」のどれかに当てはまっていなければなりません。職制上の変更があり臨時改定を行った場合などでは、その証拠を用意しておくようにしましょう。
さらに、金額の妥当性についても、会社の収益状況からみて適当か、同業他社や従業員の給与と比較して適当か、といったことも検討し、資料として揃えておいた方が良いでしょう。
(2) 使用人のうちに実質的には役員・使用人兼務役員とみなされる者はいないか
同族関係者の地位や立場について調査されます。これは、役員賞与支給額の損金算入、超過勤務手当支給などの問題があるからです。取締役会議事録、株主名簿などが調査対象となります。
(3) 現物給与とみなされる経済的利益を与えていないか
例えば、特に低利な金銭の貸付とか低額な家賃による社宅貸与などが調査の対象とされます。金銭の貸借契約書、社宅の貸借契約書あるいは使用規程などによって、報酬とされる経済的利益の有無がチェックされます。
(4) 長期未払いとなっている報酬はないか
否認の対象となりがちなので、未払いとなっている理由を明確にする必要があります。期末までに支給することができない場合には、所得税を源泉徴収・納付し、借入金または預かり金とし、「未払金」の状態は精算しておくべきでしょう。
役員賞与について
① 役員賞与が損金に算入されていないか。使用人兼務役員の使用人分の賞与計算に誤りがないか
使用人兼務役員の使用人分の賞与については損金算入が認められますが、役員賞与及び使用人兼務役員の役員分の賞与については損金算入が認められません。
したがって、その区分計算は適正か、比較される金額は適当か、支給日は一般社員と同日か、などが調査されます。
② 経済的利益で賞与とされるようなものはないか
交際費や海外渡航費などのうち、経済的利益として役員賞与に該当すべきものはあるか否かについて調査されます。
役員退職金について
① 役員退職金の金額が過大でないか
役員退職金については、株主総会か、その委任により取締役会が決定することとなっています。そのため、金額の妥当性は、その役員の在職年数、功績、退職の理由、同業同規模他社との比較によって総合的に判断されます。なお、株主総会議事録に正しく記録されているかどうかも調査されます。
② 損金算入の時期に間違いないか
役員退職金は、その支給すべき額が具体的に確定した年度の損金として経理しなければなりません。すなわち、退職日でなく、株主総会などで具体的に金額が決定した年度の損金に算入することとなります。
Q8)消費税の税務調査に必要な証拠書類、ポイント、注意点を教えてください。
<Answer>
消費税の調査に必要となる証拠書類
消費税の調査では、仕入税額控除を算定する際に必要となる請求書等の取扱いが肝となってきます。請求書等とは、売り主が交付する請求書や納品書、領収書などで、次の5項目が記載されているものを指します。
① 書類の作成者の氏名または名称
② 課税資産の譲渡を行った年月日
③ 譲渡した資産または役務の内容
④ 譲渡した課税資産の対価の額
⑤ 請求書等の交付を受ける事業者の氏名または名称
ただし、次のケースについては書類の交付を受ける事業者の氏名や名称が請求書等に記載されていなくても仕入税額控除は認められます。
① 小売業、飲食店業、写真業、旅行業
② 駐車場業
② 道路運送法に規定されている一般乗用旅客自動車運送事業
帳簿とは以下の4項目を満たすものを指します。
① 課税仕入れの相手方の氏名や名称
② 課税仕入れを行った年月日
③ 課税仕入れに関する資産または役務の内容
③ 課税仕入れに関する支払金額
従って、伝票であっても上記の 4項目の要件を満たす限り帳簿と考えることができます。ただし、単なるメモと変わりがないものは帳簿とは見てくれません。規則的に継続して記帳されていることが条件になります。
消費税の税務調査のポイント
① 前払広告宣伝費が損金処理されていないか。これは、前払費用に計上すべきです。
② 看板、ネオンサイン、マネキン人形などの有体物の処理は適正か。資産計上すべきものは、資産に計上して減価償却していかなければなりません。
但し、その法人の事業の用に供した減価償却資産でその取得価額が30万円未満のものを有する場合に、その取得価額に相当する金額についてその事業の用に供した事業年度で損金経理した金額については損金の額に算入することができます。
③ 自己の製品等の広告宣伝等のために看板、ネオンサイン等のような資産を贈与したことにより生ずる費用については、その資産の耐用年数の10分の7に相当する年数(その年数が5年を超える時は、5年)にて繰延資産として償却をしていくこととなります。
消費税に関連する調査について注意点
消費税の調査は法人税や所得税の調査と同時で行われることが一般的です。ただし還付金額の大きい法人、大規模法人については消費税だけの調査も行われますし、黒字企業・赤字企業に関わらず実施されます。
近年、国税当局は消費税の調査に力を入れていることから、注意が必要です。
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