世間では、『貸借対照表を読む』という表現をよく見かけます。
確かに貸借対照表の『読み方』はあります。
しかしこれは熟練者だけに可能な技であって、普通はできません。
私は貸借対照表を見れば、その会社の経営方針や社長の性格などがわかります。
さらに貸借対照表からはその会社の経営ストーリーが見えます。
これを『読む』というのです。
こんなのできませんよね(笑)。
はっきり言って貸借対照表は難しいんです。
ちょっとやそっとじゃ理解できません。
だから貸借対照表は『読む』のではなくて『見る』でいいんです。
それも全部を見る必要はありません。
いつも言ってますが、企業はお金が全てです。
つまりは第一に資金繰りが来ます。
であれば、資金繰りに関係する部分だけを見ればいいんですね。
それも資金繰りを楽にするために貸借対照表を使えれば、それで十分です。
それでは具体的にはどこを見ればいいんでしょう?
はじめは『現預金』です。
これは当然ですね、企業の資金繰りの基本はここにありますから。
『現預金』が潤沢にある企業であれば、そもそも資金繰りに困ることはありませんからね。
二番目は『受取手形・売掛金』です。
実はここが重要ポイントその1となります。
受取手形や売掛金は即お金にはならないからです。
何ヶ月後にいくらのお金になるのかをしっかりと把握して下さい。
三番目は『支払手形・買掛金』です。
ここが重要ポイントその2です。
支払手形や買掛金は即支払う必要が無いからです。
何ヶ月後にいくらのお金を支払わなければならないかをしっかりと把握するようにします。
ここでよくある間違いが「『受取手形・売掛金』の方が『支払手形・買掛金』よりも多ければOK」というものです。
いわゆる流動比率と呼ばれる分析手法です。
これ資金繰りには使えません!
勘違いしないで下さいね。
資金繰りはそんなに単純なものではありませんから。
四番目は『未払金』です。
毎月の未払金を管理しているほどの企業であれば、このエントリーを読む必要もないかと思います。
これも『支払手形・買掛金』と同様、何ヶ月後にいくら支払うのかを確認します。
五番目は『短期借入金・長期借入金』です。
これも何ヶ月後にいくら返済するのかを確認します。
貸借対照表で資金繰りに影響する部分は、概ねこのあたりです。
まずはここだけをチェックするようにして下さい。
当面はそれだけで十分です。
これができるようになれば、資金繰りもできるようになります。
あと貸借対照表に関するものでよく出てくるものに『減価償却』があります。
これは非常に会計的な考え方をするものです。
明日からは少し会計的なものの考え方について解説していきましょう。
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最近あちこちでこんな表現見ませんか?
・繰延税金資産
・税効果会計
・退職給付引当金
・減損会計
・時価会計
・・・・・・
これらはいわゆる会計ビックバンで導入されたものです。
会計ビッグバンとは、国際会計基準と呼ばれる世界のデファクトスタンダードと、日本の会計とがあまりにもかけ離れていたため、1999年から数年かけて日本の会計を国際会計に合わせるべく行われた一連の作業を指します。
これによって日本の従来の会計システムは大きく様変わりしました。
がっ!
実は変わったのは主に大企業であって、中小企業は未だに旧態依然とした会計を用いています。
それじゃ中小企業でも国際会計基準に合わせなければならないのか?といいますと
全然必要ありません!!
必要ないんです。
っていうか、あまり意味ないんですね。
一昨日のキャッシュフロー計算書といい、今回の会計ビッグバンといい、これらは主として大企業への投資家向けに整備されたものです。
もっとはっきり言うと、アメリカの投資会社のためのものなんです。
以前からアメリカの投資会社は日本の法人に目をつけてきました。
しかし日本の会計は独自のものであったため、彼らには理解できなかったのです。
その際たるものが資産を取得価格で計上するというものでした。
これでは決算書を見ただけではその会社の潜在能力を測定できなかったんですね。
その後日米間でいろんなやりとりがありました。
きっと外圧もあったんでしょうね。
そうして時価会計などの国際会計基準が導入されました。
導入されてどうなったと思いますか?
最近、アメリカの投資会社が日本の会社を買収しようと乗り込んできましたよね。
新聞紙上でも敵対的買収なんて言葉が見られるようになりました。
こんなの会計ビッグバン前には皆無でしたよね?
このように今回の一連の会計整備は上場企業のためのものだと考えてもらえれば結構です。
それじゃ、ここからわかることがありますよね!
中小企業には必要ないっ!
ということです。
何となく国際会計基準というと格好良さげに聞こえますが、必要ないんです。
こんなところで惑わされないで下さいね。
最近の会計本では、必ずと言っていいほど『税効果会計』や『時価評価』が載っています。
これが、皆さんが会計につまずく原因なんですよ。
だって、わからないでしょ?
『税効果会計』はともかく『時価評価』なんて税理士の少なくとも半数以上は知りませんよ。
えっなんでかって?
そりゃあ理由は簡単です。
実務じゃ使わないから
なんですよ。
必要のないものを無理に勉強してイヤになることほど意味のないことはありませんよね?
ウエスタン会計を通して、何が必要で何が必要でないかをしっかりと見極めてから会計の勉強を始めて下さい。
そうすることによって、きっと今まで会計が嫌いだった人の半分以上が『案外そうでもないんだな』と感じることでしょう。
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